ストーリー
レイアークという土地がある。そこは聖地と呼ばれ、誉ある神々が選びたもうた祝福の地。
しかし、長い歴史の中で分断された宗教がある。同じ神々を崇拝し、同一の聖地を持つ『ミディリーシュ教』と『ハプラスティマ教』。互いの正当性を証明するために争いを続ける。聖地を保有するものが神々に選ばれた証なのだと。
現在聖地を保有するのは『ミディリーシュ教』ユディル王家。この十年その座を明渡していない。若干15歳にして戦場に現れた皇子グルーヴェル。鬼神の如き剣腕と希有の知略で信徒達から褒め称えられている存在。そしてもう一つ、ユディル王家の正当性を不動とさせる存在がある。グルーヴェルの義妹でユディル皇女ユーディットだ。ユーディットは神々に選ばれた聖女なのだ。この聖女ユーディットが『ミディリーシュ教』側にある以上、『ハプラスティマ教』は異端者・邪教徒でしかない。彼女を亡き者にと試みるが、グルーヴェルがいるため聖地の磐石は些かも揺るがなかった。

だがある日、信じられない出来事が起こる。聖女ユーディットの口から零れた神託──それは誰もが聖地の守護者と信じて疑わなかった皇子グルーヴェルの処刑宣告であった………。